バリヤフリー体験記
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とっても個人的なバリヤフリーの体験談です。お暇ならどうぞ。
私のダンナさんは3年前に仕事中の事故により片足を失いました。身近な人間が障害者となることで、バリヤフリーの家に対する私の考えもちょっとづつ変わってきました。とっても個人的な見解ですが、家を設計し、建てる側の私から見たバリヤフリーの考え方です。お暇でしたらちょっとお付き合いして下さい。(^_^)
ビックリだよ。
達夫婦は結婚当初から離ればなれに暮らしていて、旦那は檜山地方のダム建設現場で働いていて、私は北見でこの仕事をしていました。
その年の春に入籍し、結婚式は秋口と言うことで結婚式の準備に1人で奮闘していた9月に事故は起こりました。

の6時過ぎに旦那の会社から電話がかかってきて「仕事中に旦那が足の骨を折った」と言われました。会社でも、どんなことになっているのか良く解っていなかったらしく、詳しい話が聴けなかったので、私も「骨折なら、結婚式は松葉杖か?」とか案外落ち着いていました。
ところが、後で連絡すると言った会社から待てど暮らせど続報が届かず、9時過ぎに業を煮やして電話すると「今、足の切断手術をしてる最中だ」とのこと。なんじゃそりゃ!?寝耳に水ってこの事です。
そんな大事なことを言ってくれなかった会社にも頭にきましたが、それよりもそんな遠いところで1人で切断を決意した主人の事を思うと、何とも言えない気持ちになりました。

我の状態は、傷口部分を複雑骨折していた上に、神経も全て切断されており、運ばれた病院の先生が札幌や函館の大きな病院に接合出来るか問い合わせてくれたのですが、どの先生もその状況なら接合しても元には戻らないし、万が一腐敗したら腰の下から切断する事になるので、膝が残っているなら今、手術するべきだと言われたそうです。それで右足の膝下10pくらいの所から下を切断することになったそうです。

院へ行ってからしばらくは、「これから生活していけるんだろうか?」とそればかり考えてしまって、不安な気持ちで一杯だったのを覚えています。

いもかけず、身内が障害者になったことで「障害」や「障害者」に関する私の考え方は大きく変わりました。今になるとそれは、私の人生に置いても建築という仕事をしていく上に置いても意味のある事だったと思えます。
大変だあ!
人は10日ほど檜山の病院に入院して、家族がみんな遠いからと言うことで北見に転院する事になりましたが、切断手術というのはつなぐ手術よりも術後の経過が良いらしく、北見の病院で検査やらレントゲンやらを撮った結果、通院する事になってしまいました。(病院のベッドが空いていなかったからという噂も・・・)
確かに食事も普通通りに食べられるし、お風呂ももう大丈夫ですが、切断して10日くらいで自宅療養ってどうなんだろう?
そう言ってもどうなる物でもないわけですから、あっという間に私の介護(?)生活がスタートしてしまいました。

んでいた家はちょっと古い一軒家の借家だったんですが、これが大変でした。
歩くのは片足と松葉杖なのですが、玄関の入り口が高くて入るのに一苦労。部屋の入り口ドアも松葉杖を脇に挟んだ状態では開けるのが大変。お風呂では手摺なんか付いていないから深い浴槽の中に入るのに危険な思いをして椅子を使って入る。これは住めないぞ!と身を持って感じました。

れでは、私も旦那を置いて仕事にも行けないと思い、あちこちの不動産屋さんを歩いて、いくらかでも住み易そうな家を探しましたが、賃貸住宅でバリヤフリー対策をしているところは皆無でした。
アパートなんかは若い店子さんが多いでしょうし、仕方のない事だとは思いましたが、建築屋に勤めていながらこんなに住む家に困るとは・・・
どうにかこうにか
を血眼になって探しているうちに、道営住宅の募集を発見しました。
道営住宅や市営住宅の1階部分は身障者や高齢者用に造られてて、「これだ!」と思い応募してみました。結果は、幸運なことに抽選に当たり、なんとかまともに生活出来る家を手に入れられました。
床に段差がなく、ドアも全て引き戸になっているのでとっても便利です。ただ1つの難点はお風呂の入り口段差が高い事。でも、今までの状況に比べればなんて事ありません。
足の方も義足が出来上がり、ズボンを履けば義足だと解らなくなりました。
障害者。
の事は何とかなりましたが、怪我をした当初はそんなに落ち込んでいなかった主人が、怪我をする以前と比べるとマイナス思考になってきたような気がしました。
一番近くにいる私でも、彼の痛みや不便さは100%解ってあげられないし、心のどこかで「かわいそう」という思いがいつもありました。けれど、主人の様子を見ていると同情じゃダメなんだと思い、不便でも自分で出来る事はやってもらわなくちゃと決めました。
最初のうちは「障害者だから」とか「もう走れないから」とか、いかにも自分はかわいそうだと言わんばかりの言動が多かった主人も、あまり私がかまわなくなったのでそのうちに昔のような言動を徐々に取ってくれるようになりました。冷たい仕打ちだったかも知れませんけど・・・

れまで私は障害を持っている方に接するとき、主人に最初思ったように「かわいそう」とか「気の毒」とかって思っていました。でもそれは健常者の思い上がりなんじゃないかなと思うように変わりました。かわいそうという言葉は悪く言うと障害者の方を見下しているような態度じゃないでしょうか?

害を持ったからといって人間には変わりないのですから、引け目を感じながら生きて欲しくはないと思うし、また、そういう考えにさせない為にも私が普通に接するのが1番良いことではないかなと思い、今は、まだまだ努力してる最中ではありますが、主人以外の障害を持った方にも自然体でお付き合い出来るように心がけています。
今は。
故から3年が経った今は、主人も一応人並みに働き、生活も出来るようになりました。
幸いなことに病院の先生に言われたような幻肢痛(切断した部分があるように感じて傷む事)も最初の1ヶ月ほどでほとんどなくなり、(年をとってからだと何年も続く人がいるそうです。)寒い時期の痛みもさほどないみたいです。

だ、困っているのは靴です。義足の靴を履く部分が堅いゴムのような素材で出来ている為、自由に曲げることが出来ず、普通の靴が入らないのです。特に雪が降る北海道では必要な長靴が履けない事が不便なんです。
今のところ紐やマジックテープが付いた足の入り口が大きく開く靴を履いていますが、他の義足の方はどうしていらっしゃるのでしょう?どなたか知っていたら教えて下さい。
こうやって見ると。
れまで、身障者の方が街を歩くのに不便だとか公共施設でも使えない所がたくさんあるなんて話を見たり聞いたりしても「そうなんだー。大変なんだな」という程度しか考えられなかったのですが、実際に体験すると本当にそうなんだ。としみじみ思ってしまいます。
主人の事故から後、店舗や公共施設などでバリヤフリー対策をしている所を注意してみると、「これはどうなの?」というものが結構ありました。トイレに手摺が付いていてもとても使いにくい位置だったり、車椅子だと険しくて自力じゃとても上がれないスロープなど。まだまだ日本はバリヤフリー後進国だとも改めて思いました。
また、住宅にしても、バリヤフリーと言われている家が本当にバリヤフリーなのか疑問に思うようにもなりました。他の建築業者だけではなく、自分自身も自己満足のバリヤフリーの家を造っていたかもしれません。
私が考えるバリヤフリー住宅
んな経験から思うのは、本当のバリヤフリー住宅を建てるにはこちらが考えるだけではなく、使う方の意見を重要視しなくてはいけないんだ。という事です。
施主様の中には「素人だから余計なことを言わないで、プロに任せる方がいい」と言って下さるお客様も結構いらっしゃいます。
でも、私達は確かに使う物や構造の種類など素人さんよりは解っているでしょうが、事、バリヤフリーに関しては実際に設計者、施工者が身障者や高齢者ではない限り、本当に使いやすくなっているかは解らない気がします。

通、バリヤフリーの住宅設計をするときは手摺の位置だとか廊下の幅、ドアの間口などの寸法は住宅金融公庫の基準値や以前の設計例を参考にする事が多いと思いますが、基準値をぎりぎりクリアしているものなどは実際には使いにくくて仕方ないはずです。
そうなると、私がある程度完璧にお客様に提案出来るのは下肢障害を持っている方へのバリヤフリーでしょうし、これが上肢障害や視覚障害だったらその方の意見が最優先されないと本当のバリヤフリー住宅は提供出来ないと思います。

までの住宅に不便を感じていて、使いやすく安全なバリヤフリーの住宅を建てる方は、設計者や施工業者にうるさいと思われてもかまいませんから、こうやったらどう?とか、こうは出来ないの?とか自分の意見はキチンと伝えて下さい。強度や構造上の問題で出来ないことがあっても、それを違う形で良い方向に持っていく努力は建てる側の仕事だと思います。(どうがんばっても出来ないことも中にはあるでしょうけど・・・)
予算や構造の規制を元に全てを却下してしまうような建築屋だったら他を探したっていいんですから。
但し、これらの行動は設計段階か契約前にしないと設計料や違約金を請求される場合がありますので、注意してください。工事が始まってからでは遅いですよ。

もこつこつお金を貯めて、いつのことになるかは解りませんが、主人が家にいるときくらいは障害を感じなくても良いような住宅を設計してみるつもりです。バリヤフリー住宅をこれから考える方も、家はものすごく高い買い物なのですから、本当に満足いくものを建てて欲しいと心から願います。
私の個人的な意見をだらだらと書きましたが、。読んで下さった方、ありがとうございます。m(_ _)m ご意見、ご感想がありましたらぜひメールで送って下さい。
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